後鼻漏の原因
後鼻漏はノドの異常として自覚されることが多いのですが問題は鼻にあり、何らかの異常で大量に発生した鼻水が、鼻腔の構造や鼻水の発生位置などの理由によってノドの方へ流れ込んでいます。
原因となる疾患はアレルギー性鼻炎、上咽頭炎や副鼻腔炎などが考えられますが、特にノドへ流れてくる鼻水が臭うようであれば副鼻腔炎の可能性が高いでしょう。
しかし、鼻粘膜が炎症などにより刺激を受け続けたことで変性を起こしてしまっているケースもあり、このような場合は治療が一層難しくなります。鼻粘膜の一部で鼻水を作る鼻腺が増殖した状態で、当初の原因が花粉症・ アレルギー性鼻炎だったとしても、抗アレルギー剤等の効果は十分に得られません。
後鼻漏の原因となりうる疾患
ここでは後鼻漏の原因として代表的な疾患を列挙していきます。
- 感染性疾患としては、鼻カゼ、急性/慢性鼻副鼻腔炎、真菌性/乾酪性副鼻腔炎など。
- アレルギー性疾患としては、通年性アレルギー性鼻炎、花粉症、好酸球性副鼻腔炎など。
- 変性性疾患としては、鼻副鼻腔術後の変化、感冒後の変化、慢性鼻副鼻腔炎からの移行、加齢の変化などによるもの。
- 血管運動性鼻炎
- 鼻副鼻腔の腫瘍性病変
後鼻漏"感"の原因となりうる疾患
ニセモノの後鼻漏と言われる後鼻漏感(仮性後鼻漏)の場合の
原因となる疾患を列挙していきます。
- 上咽頭炎/咽頭扁桃炎
- 胃食道逆流症/咽喉頭酸逆流症
- 口腔乾燥症
- アトピー疾患(咳喘息、アトピー咳嗽、喉頭アレルギーなど)
- 嚥下障害(脳疾患、サルコペニアなど)
- 生活習慣病(糖尿病、肥満、睡眠障害など)
- 咽喉頭の腫瘍性病変、など。
原因1.副鼻腔炎について
後鼻漏の原因で最も可能性の高い副鼻腔炎
副鼻腔炎で異常な鼻水がノドへ落ちる症状のことを後鼻漏と言うこともあります。慢性的な副鼻腔炎は常に鼻水が流れていますので内視鏡やファイバースコープで視認できることが多いです。
副鼻腔炎の治療は薬物療法、副鼻腔処置、手術療法など患者さんの症状に合わせて治療法が選択されます。
原因2.アレルギー性鼻炎について
アレルギー性鼻炎による後鼻漏の患者さん増加
アレルギー性鼻炎の特徴の一つとして鼻水がサラサラしているので鼻の穴から流れ出てくることが多いです。
ただし、鼻水の量はかなり多いので、場合によっては粘り気のある鼻水を伴うこともあり、その影響で下鼻甲介が腫れ、鼻水の通り道が塞がれてしまいノドの後方へと流れ、結果後鼻漏になってしまう場合があります。
ここ数年はアレルギー性鼻炎による後鼻漏の患者さん増加しているのが現状です。
原因3.上咽頭炎について
ウイルスなどと常に戦っている上咽頭
上のイラストの上咽頭と呼ばれる部分にはリンパ組織が多く、このリンパ組織はウィルスや細菌などからノドを守る重要な働きを司っています。
大気中にはウィルスや細菌や花粉などは無数に存在していますから、上咽頭は常にそれらと戦っている状態にあるので、慢性的な炎症を起こしてしまう可能性も高いです。
上咽頭炎は後鼻漏の原因となるだけでなく、自律神経障害など様々な症状を引き起こす引き金になり得ります。